Dies irae 〜Amantes amentes〜

「Dies irae」はアニメ化も決定している、学園伝奇バトルオペラADVのスマホ版です。元々はPCやコンシューマのゲームだけあって、その面白さは折り紙付きです。グラフィックもサウンドもシナリオも、ハイクオリティで一見の価値ありです。

声優陣のフルボイスも魅力ですし、何より耽美で残酷で厨二病テイスト満載の世界観に病みつきになりそうです。物語は第二次世界大戦の最終局面、陥落寸前のベルリンから始まります。ナチスの魔術研究によって誕生した恐るべき魔人たちの集団が、人々を虐殺するという衝撃的プロローグです。プロローグはヴィジュアルノベル的に読み進めていく形です。

豊富なテキスト量で読み応えがあり、質の高いBGMやバック絵も臨場感を高めてくれます。画面を上から下にフリックするとメニューが表示されます。ここにセーブボタンがあるので、プロローグの途中で中断したい時はここでセーブ可能です。画面を下から上にフリックすると今まで読んだログが読めます。

テキストボックスを非表示にして「Dies irae」の美麗イラストを堪能したい場合は、三本指で画面をタップすればテキストボックスが消えます。長めのプロローグ終了後に、ゲーム本編の開始となります。「Dies irae」本編の舞台は時と場所を変え、現代日本です。主人公は高校生の藤井蓮です。

ゲーム画面は主に二種類あります。一つは背景画の上に三人称のシナリオがかぶるノベル風の画面です。もう一つは主人公目線によるアドベンチャーゲーム風の会話画面です。時々ですが選択肢もあります。そしてやはり、個性的なキャラクターたちが「Dies irae」の魅力です。

明るく元気で何かと主人公の世話を焼く「香純」。不可解な理由で蓮に殺し合いのような喧嘩を仕掛け、行方不明になった元親友の「司狼」。蓮の白昼夢に現れる、首にギロチンの痕をつけた謎の少女「マリイ」。美人ですがちょっと不思議な雰囲気の「玲愛」先輩。蓮の周囲の人々も物語を盛り上げます。

ゲーム中、全体的に選択肢は少なめで、プレイスタイルとしては基本的に読むだけです。しかし凝った演出によるハイクオリティなシナリオに引き込まれ、どんどん読み進めてしまいます。プロローグも血なまぐさいですが、本編もなかなかホラーな展開でスリリングです。

蓮がギロチン斬首の悪夢を見た翌日、近隣で通り魔殺人事件が起きます。ギロチンの悪夢を象徴するような、首を刃物で切り落とされる猟奇殺人です。「Dies irae」のストーリーはホラーですが、香純や玲愛など、ヒロインたちとの軽快なやりとりが良い緩衝材になっています。二人とも可愛くて萌えます。

ヒロインは可愛いですが、美形男子率もなにげに高く、このゲームが男女問わず支持されている理由がよくわかります。私はこのスマホ版で初めてDies iraeに触れましたが、早くもファンになってしまいそうです。